2.従業員の袴田巖さん逮捕

事件発生から一週間に述べ千人以上の警察官を動員しましたが、手掛かりがつかめずに捜査は難航。警察は現場や死体の状況などから、会社の内情に詳しい者による犯行との疑いを強め、会社関係者を中心に聞き込み捜査などを進めた結果、袴田巖さん(30)に白羽の矢を立てました。袴田さんは、当時東海道線線路を隔てて現場のすぐ裏側にあった味噌製造工場二階の従業員寮に住み込んで働いていました。袴田さんにはアリバイがなかったこと、事件直後左手中指を怪我していたこと、寮から押収された袴田さんのパジャマから微量の血液とガソリンが検出されたことなどを理由に袴田さんを犯人と断定し、同年8月18日に逮捕しました。
決め手となるような証拠はなかったのですが、従業員は袴田さんを除いてみな地元の出身、彼はよそ者でした。また、元プロボクサーであったことから「ボクサーくずれ」とレッテル張りされました。つまり、村社会の偏見から、犯人に仕立て上げられたと言わざるを得ない状況でした。