再審公判は5月22日に結審。9月26日判決。
現在継続中の袴田事件の再審は、静岡地裁での再審公判が結審となり、判決期日が9月26日に指定されました。
再審公判での検察官の主張は、再審請求審でのそれを蒸し返すばかり。1年2か月の長期間にわたって味噌タンクに隠されていたとされた「犯行着衣」なるものが捜査当局のねつ造であったという弁護団の主張が東京高裁の再審開始決定でも認められて再審公判が始まりました。再審公判で焦点となったのは、着衣の色。白い布地が味噌色に染まっていなかった。そして血痕が赤かったという2点でした。弁護団は、弁護団の実験でも検察官のやった実験でも、白い部分は味噌色に染まり血痕は黒ずんでしまうことを証明、法医学者の理論的解明も鮮やかなことこの上なし。検察官の「赤みは残る可能性がある」という弁護団批判は風前の灯火のごとく、検察官推薦の法医学者からも「1年2か月も味噌に漬けられれば赤みは消える。それは法医学者の常識」という証言まで飛び出すに至ったのです。やっとのこと「事件当時の味噌タンクの状況が詳細不明なので、結論も断定できない」という逃げ口上でお茶を濁したにすぎません。要するに、巖さんが真犯人であるという証拠は全て取るに足りない状況証拠でしかなかった。そのことが明瞭に示されたのが、再審公判の総括であり、9月26日に予定される判決は選択の余地は全くありません。無罪は確実にやってくる確信を表明いたします。
一人でも多くの国民に、否、世界の人々に、事件とその裁判の実態を、その真実を知っていただきたい。
5月22日の弁護団最終弁論を掲載しますので、その事実認定と法理論をご確認されたい。
5月22日 弁護団最終弁論
「弁論要旨」目次
第1編 総論
第1 緒論 ― 巖さんは不屈の闘士である
第2 検察官の主張する事実は証拠価値のないものばかりである。
第2編 「5点の衣類」について
第1 はじめに
第2 「5点の衣類」の発見経緯
第3 5点の衣類の色に関する証拠は5点の衣類がねつ造であることを示している
第4 「5点の衣類」とDNA鑑定
第5 はけないズボン
第6 「5点の衣類」の損傷状況
第7 「5点の衣類」の血痕付着状況
第8 砺波鑑定におけるズボンと麻袋との比較
第9 緑色ブリーフが巖さんのものではないこと
第10 共布
第11 従業員の供述が信用できないこと
第12 小括
第3編 「5点の衣類」以外の証拠について
第1 はじめに
第2 パジャマと血痕・混合油
第3 ゴム草履
第4 混合油
第5 雨合羽
第6 金袋
第7 左手中指の傷
第8 くり小刀
第9 被害者宅への侵入経路
第10 裏木戸からの脱出・再侵入・再脱出
第11 「アリバイ」
第12 「被害金」の捏造
第13 黒皮財布
第14 小括
第4編 自白が無実を証明していること
第1 取り調べ経過
第2 取調官らの虚偽証言
第3 浜田鑑定書について
第4 検察官の主張に対する反論
第5 結語
第5編 本件が複数犯による怨恨目的の殺人であること
第6編 検察官のねつ造否定論が失当であること
第7編 結論